マイルドヤンキーは単なる情報弱者でない理由
数年前に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)
という本が発売され、話題になりました。
著者は博報堂ブランドデザイン若者研究所のリーダーをつとめる原田曜平さん。
このマイルドヤンキーという言葉は一躍スターダムになり、
当時はTVでも何度か原田氏を見かけたことがあります。
上京志向があまりなく、生まれた地で堅固な人間関係と生活基盤を形成し、
地元から出たがらない元ヤンキーの層」を「マイルドヤンキー」と定めています。
なかなか今までにない視点で、TVの前でうなずきながら視聴していた自分を記憶しています。
私からすれば「上昇志向がない」ということに正直理解できませんでしたが、
たまたま仕事場周辺が有数のヤンキー地域だったことで学びました。
居酒屋やBARで多くのマイルドヤンキー層の方たちとふれあい、
仕事場でも彼らがよくお客様として来店する環境に身を置いてきた結果。
以前は虫酸が走るほど毛嫌いしていた彼らを、
ようやく理解することができるようになりました。
マイルドヤンキーが経済を支えている
現代日本を象徴しているのがマイルドヤンキー層
マイルドヤンキーは地元で小さな国を形成しているように見えます。
多くのマイルドヤンキー層は
・大金を稼ぐ
・有名になる
・都会で一旗揚げる
といった夢は持たず、ただひたすら地元愛に貢献し、
昔からの友人(悪友含む)と永遠につるんで地元を支えています。
職業も
・とび職
・居酒屋・BAR
・車関係
・住宅関連
と、わかりやすい職についている方が多いのも特徴の一つ。
地元で稼いだお金は地元で消費する。
「地産地消」をこれほどまで律儀におこなっているのも彼らの特徴です。
マイルドヤンキー層の趣味志向は
原田氏が定義しているマイルドヤンキーとは、典型的なヤンキーだけを指すのではなく、
「地方の低学歴・低所得層」も入るのだという。
いわゆるわたしたちがイメージする不良や暴走族だけではないのです。
・収入は高くなく、高学歴ではない
・家族や仲間をなによりも大事にし、地元意識が強い
・結婚相手も幼いころからの友人や同じマイルドヤンキーが多い
・本を読んだり、学習することがあまりない
・保守層が圧倒的に多い
上昇意識がうすいので、車やスポーツ、酒・タバコ・ギャンブルなど、
趣味嗜好もわかりやすく共通しているのも面白いです。
☆永ちゃんが好きな40~50代
☆浜崎あゆみやEXILEの特注車を走らせてきた30代
☆西野カナや湘南乃風が好きな20~30代・・・
音楽の趣味もわかりやすい方が多く、いつもみんなで盛り上がって、
オラオラとさわいでいる姿は、わたしのようなサブカル派には、
ちょっとなじめないのもまた事実。
コアなこだわりよりも、みんなで共有する方向性のため、
サブカルチャー好きにとっては深い話ができない層なのです。
中間層に上がれない層が多い理由は情報弱者が原因
先に書いたように、マイルドヤンキー層には上昇志向があまりありません。
上昇志向を持たないということは、本を読んだり、
セミナーに出かけて学んだりということが圧倒的に少ないということです。
いろんな情報にアンテナを張り巡らせ、学び続けることでようやく収入がUPしていく。
同じことをして頑張っていても、稼げない人はたくさんいるのが現実です。
しかし、マイルドヤンキー層は基本的に職人の世界へ就職する方が多いです。
しかも周りは仲間同士でお金を循環させている比率が高いため、
そこまで学び続けなくても生活は成り立ってしまうのです。
確かに、今まではその循環経済で、中間層に位置する生活を送れていた人も多かった。
しかし、もうそんな体制が続くほど日本経済は強くないのは誰もが知ることでしょう。
むしろ日本経済は下がり続けているのですから・・・。
現在、一番きびしいのはサラリーマンと職人の世界です。
副業でもおこなわなければ、生活が成り立たなくなっている家庭もあるかもしれません。
新たになにかを始めるより、今までの世界を維持する傾向にある彼らは、
サラリーマン以上に貧困化の一途をたどっているのです。
彼らはもっと広い世界に目を向けないと、残念ながら未来はありません!
情報弱者でも生活が成り立つ時代は終わったことを、もっと意識するべきです。
一般の若者が離れていく文化を支え続けている
中間層より下が多いと書きましたが、
彼らがお金をかけることによって支えられている業界もまた多いです。
こうしたマイルドヤンキー世帯の経済消費をひも解いてみると、
普段は徹底的にお金を使わず、休日も地元のスーパーや居酒屋を、
ぶらぶらしていることが非常に多いです。
若者離れが著しい車・酒・たばこ・パチンコにも、
積極的に消費者として君臨し続けています。
以前紹介したミニマリストにも通じるところがあるのではないかと、わたしは分析します。
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ヤンキーをまとめる族のリーダー的人物が各地に存在する
そして、そんな彼らを束ねるリーダー的存在の人物が必ず数人おり、
会社を経営しながら同じ層の人達を自分の会社に入れて、
面倒をみている姿を実際に何度も見てきました。
人によりますが、悪いことはなんでもやってきたヤンキー層が、
急に一般社会にとけこめるわけもありません。
国家公務員になったり、一流会社に就職するなど、
蜘蛛の糸をつかむよりむずかしいことでしょう。
その受け皿になるのが、最初にあげた職種というわけです。
さらにこれらの会社を経営している社長も、昔はヤンキーや族だったりすることも多く、
彼らも普通の就職先よりも居心地がいいはず。
そうして
・エリート層
・一般層
・マイルドヤンキー層
と区分けされてきたのが、日本社会の基礎なんだろうと分析します。
彼らを束ねるリーダー(社長)も、都会へ進出することは極めて少なく、
やはり地産地消で地方経済の土台をきずいていることに、
わたしたちはもっと目を向けたほうがいいと思うのだがどうでしょうか。
エリート層よりもマイルドヤンキー層のほうが現実的な経済を知っている
マイルドヤンキーをバカにする人たちはかなりの数がいると予想されますが、
わたしは彼らがいなくなってしまうと日本経済は終焉してしまうと考えています。
その一例が、民主党政権に変わったとき、インフラ事業が極度に削減されたことがありましたが、
その結果経済がよくなるどころか逆に悪化してしまいました。
銀座にお客さんが来なくなるという象徴的な現象が起こったのです。
もちろん銀座だけでなく、全国的にスナックやラウンジなどの夜の街が閑古鳥が泣く
という現象が起こって、ニュースでも話題になりました。
このことから夜の街を支えていたのは、
- 建設会社
- 警備会社
- 建築資材製造業
など、つまりマイルドヤンキー層だったことがわかりました。
『道路工事にムダなお金をどれだけ使い続けるんだ!!』
という意見は正しいようで正しくなかったのです。
それはそれで、うまく日本経済を循環させていたというわけですね。
マイルドヤンキー層を見ていると、
身近な商業圏を大事にすることの大切さを教えられます。
まとめ
今回、注目すべきはマイルドヤンキー層が全国的で増加しているということ。
マイルドヤンキー層は、
・ヤンキー層が改心して地元社会で生きていくことを選択した人たち
・グレてはこなかったものの、ずっと情報弱者でいた人たち
風貌はこわそうだが、一般人よりも礼儀正しい人が多いのもおもしろい。
わたしは実際にお店を経営しているので、よくわかります。
現在、日本国内で事業者以外の高所得層は、いわゆるエリートが多い。
広告代理店やマスコミ業界、金融系、官僚などのエリート公務員などが浮かぶでしょう。
「国家はエリートが仕組み化して特権を得て、支え続けるのは庶民」
このような形はどの国も同じですが、
民間のエリート層はすでに従来の体制が維持するのが困難になっています。
老後2000万円問題がさけばれていましたが、マイルドヤンキーだけに限らず、
庶民は特権階級層のエリートの100倍シビアな生活をしているのです。
生まれ育った土地で、上を見ずに一生をささげるという生活は、
理解できるできないに関わらず、さらに増殖していくでしょう。
「上昇志向を持たず流れに身を任せているだけの人間に、チャンスなど絶対に訪れない」
このきびしい現実をもっと真剣に知るべきだろうとわたしは思います。
まずは面倒で目をそむけてきたことを知ることから始めましょう!